「和」をその人独自の感性で、生活の中に取入れている方が増えています。 裂 (きれ)も、そのように多くの方々にお楽しみ頂ければと思っております。

金襴(きんらん)
緞子(どんす)
■ 錦(にしき)
■ 無地


正絹ナナコ






「裂という字」
きれを辞書でひくと「切(れ)」と載っているように、裁断した(切った)織物を表具に仕立てるので「切る」の方が正式かと思われます(裂くのではなく)。ただし表具で使われる布の総合名詞として、現在は『裂(きれ)』と書くのが一般的になっています。


「名物裂とは」
中国渡来の織物の中でも、お茶の世界で名物茶入に添えられる裂を指して、「名物裂」と呼ばれています。もとは室町の足利義満・義政時代に、金襴・銀襴・緞子などが輸入され、当時の茶人、高僧、上流武士、その他一般好事家などに所持されました。その後それらの中でも極めて優秀な裂地が茶の湯と結びつき、いつしか「名物裂」と称せられるようになりました。名称については例えば「二人静」と呼ばれる金襴は、足利義政がこの裂の装束で『二人静』を舞ったことに由来しているとされるなど、基本的に、神社仏閣の名称、僧侶・大名・茶人などの人物名、装束として使われる能の演目に関するものなどから付けられています。

「織物の組織」
織物は、経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸が交差して機(ハタ)で織られます。その交差の組織の違いによって、金襴、緞子、無地などが織られます。織物の三原組織として、経糸と緯糸が一つ置きに上下して織られる織を「平織り」、一度にそれぞれの三本以上の経糸と緯糸が交差する「綾織」、経糸と緯糸の交差点を少なくし最低五本以上の経糸と緯糸を最小の単位とする「朱子織り」があります。

「金襴(きんらん)」
現在日本で金襴と呼ばれるものは、綾織または朱子織の地に、金糸を織り込み模様を飾った織物のことです。他に、銀糸を織り込んだ"銀襴"や、染色織物に模様を彫った型紙をあてて金箔をおく"印金"、金糸を織り込んだ紗織の"金紗"等があります。
金糸を使った織物のルーツを探ると、『旧約聖書』の「出エジプト記」に「金を延べて糸となし、それを紫や麻糸にまじえて織る」と記されていることから、西アジアでは紀元前に(絹糸に)金糸を撚りつけた撚金糸の織物がつくられていたようです。その後中国で、紙の上に金箔をのせ、それを裁断して使う箔糸が創案されました。
表装する際、金襴は非常に格のある織物であり、本紙(作品)の内容や使用される目的によって、その取り合わせが工夫されます。



「緞子(どんす)」
朱子織物の一種で、地が薄くて美しい光沢のある絹の織物です。地と文様の織りの組織を違えるため、はっきりと文様が表れます。そのしなやかな手触りと、落ち着いた文様が特徴で、金襴と同様に表装には欠かすことのできない裂です。