シミ、シワ等の経年劣化も、修理をすればまた永く楽しむようにできます。購入したけれど額や軸のデザインが気に入らないといった作品も、お気軽にご相談ください。大切な作品がよみがえります。

書画は、完成した時点から外気にさらされるなどで劣化が始まります。特に日本は気温の変化や湿気が多く、紙や絹といった基底材に描かれる書画にとって決していい条件であるとは言えません。数寄和では、大切な作品を少しでも長く楽しんでいただくために、保存に適した素材を厳選し軸装・額装を行ないます。また日頃から扱い方を注意したり、保存する環境を考慮することも大切なことです。このような気候や保存環境の中で、何十年かに一度の周期的な修理が必要になりますが、大切な作品のためには劣化がひどくなる前の修理をおすすめします。








状態を確認

本紙は全体的にシミ・汚れ・焼け・ゆがみが生じており、
ところどころにカビによる浸食もみられ、
放置すると更なる劣化が避けられない状態です。
巻紐、裂、軸先にもとらぶるが生じており早い修理が必要です。











1、燻蒸
お預かりした作品を特殊な室に入れ、カビなどを殺菌します。

2、洗い
本紙を元の軸から解体します。
水による丁寧な洗いを繰り返し、時間をかけて少しずつシミや汚れをクリーニングしていきます。

3、裏打ち
健康な状態に戻った本紙に補強の為の裏打ちを施します。

4、表装
口を開け生き生きとした表情の鮎が描かれていることから、夏を想定した作品と思われます。
裂地の取り合わせには、一文字に明るい箔色の金襴、中廻しには模様の目立たない緞子を、
天地には紬の入った青みのある裂を選びました。
作品に広がりを感じさせ、瑞々しい印象でまとめています。

洗いと表装の仕立て直しにより、全体的に明るくなり、金泥の耀きと柔らかな色彩が戻りました。










作品を保護する軸装も、扱い方によっては大切な作品を傷めてしまいます。また、扱いがわからないという理由から、掛軸を敬遠される方も多いのではないでしょうか。しかし少しの注意でそのコンディションは維持できます。掛軸を楽しんで頂くために、その特性を知ってください。保存方法や取扱い方によって、大切な掛軸を長い間お楽しみ頂けます。

(1)湿気が苦手
日本は多湿の気候ですが、掛軸が最も嫌うものの一つがその湿気です。桐箱に入れ、風通しの良い場所に保管してください。マンション等の鉄筋コンクリート造の建物で保存する場合は、押し入れは湿気がとても来やすいので、タンスの上など少しでも湿気の来ない場所を選ぶようにしましょう。

(2)虫干しが大切
湿気を防ぐ為に保管場所を選び、また箱の中に湿気がこもらないように。時々取り出して外気に触れさせることが重要です。最低でも、年に1~2回春秋の晴れた日等、湿度の低い日を選んで虫干しをして湿気を取り除くことが大切なことです。

(3)乾燥も苦手
湿気とは逆に、暖房やクーラー等に直接あてたり、エアコンで乾燥し過ぎた所に長時間掛ける事はさけて下さい。また、急激な温度の変化にも弱く、直射日光は避けましょう。

(4)掛けっぱなしはダメ!
半年以上など、長い期間掛けっぱなしにしておくと、シミや汚れ、或いは日焼や「反り」等の原因になります。少なくとも季節毎にしまって休ませてあげることが必要です。

(5)締め付けないこと
掛軸を取り扱う時には清潔な手で、またきつく持つことのないようにしましょう。しまう際には紐の下に必ずあて紙をして、緩めに巻いておくと良いと思います。

これらのことを守れば、掛軸はとても扱いやすく、また収納や出し入れに適した合理的な保存形態です。あまり神経質に考えず、季節を楽しんだり、掛軸のある空間を演出したりしながら自然に保管と鑑賞をしていれば、それで掛軸は十分状態を保つことができます。