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和紙の特性

現存する最古の和紙は、奈良の正倉院(奈良・平安時代に重要物品を納める正倉、それらが幾棟も集まる一郭が正倉院と呼ばれたが、現在残っているのは僅か正倉一棟でそれを『正倉院宝庫』という) に所蔵されている美濃、筑前、豊前の和紙で、戸籍に使用され大宝二年(七〇二年)の日付が残っている。

     
強くて長持ち
その原因は、植物の繊維にあります。化学繊維やレーヨン、或いは動物の毛をすくって乾燥させても、ばらばらにちらばり一枚にはなりませんが、植物の繊維には‘自己接着性’があるため、すくい上げそのまま天日で乾燥させると丈夫なシートが出来上がります。自己接着性とは繊維と繊維が重なった接点で互いにくっつきあう性質です。
植物繊維はセルロース分子がたくさん集まってできており、そのセルロース分子のところどころに水の分子と同じ型をした部分があります。その型の部分が水とよくなじみ、繊維を水に浸すと非常に水を吸い膨張します。植物繊維に十分水を吸わせて漉き上げて乾燥させると、それまで水と結合していた繊維と繊維の接触している部分が、次に繊維同士の結合(水酸基結合)に変り、紙全体で丈夫なシートになっていくのです。

     
繊維の長さ
和紙の強さは、繊維の特徴によっても説明できます。洋紙の原料であるパルプが、針葉樹のパルプで平均二・三ミリ、広葉樹のパルプで一・〇二ミリに比べて、手漉き和紙に使われる楮(こうぞ)は七・三ミリ、三椏(みつまた)は三・二ミリ、雁皮(がんぴ)五・〇ミリとかなり長いことがわかります。ちなみに繊維の長さに対しての幅の比率を比べてみると(長さ/幅)、針葉樹のパルプで八六、広葉樹のパルプで六〇に比べて、楮五一〇、三椏四二〇、雁皮四九〇と、非常に長くて細い繊維であることがわかります。
とくに、繊維の長さは長ければその分繊維と繊維が結合する箇所も多くなるので、それだけ強い紙になるといえます。

     
薄くても丈夫
和紙に特有の紙製法の技術として、トロロアオイ等の根から抽出した「ねり」という粘りのある成分の使用が上げられます。和紙を漉く際に混ぜることで、繊維が均一に拡散し、繊維そのものの強さや特徴を生かした、薄くて丈夫な紙を漉くことができます。